
伽藍堂 紗羅(がらんどう さら)
CV:村川 梨衣
「……正しい世界に、私の居場所はないんですよ」
一般的に、子供は二歳の頃に親と自分は違う人間なのだということを学ぶと言われている。
これがいわゆる第一次反抗期である。
やがて中学生頃に訪れる第二次反抗期を経て、親元を飛び出し一人で生きていく力を身につけていく。
だが、伽藍堂家はとても一般論で語れるような家ではなった。
第二次反抗期に至る前に一人で生きざるを得なくなった彼女は、
島のしがらみに抗いながらも自活していた母親に、自分を重ね合わせるしかなかったのかもしれない。
年不相応に大人びた態度を見せる彼女だが、
ある意味では第一次反抗期以前へと退行してしまったとも言える。
彼女の母親への極度の同一視を、単なるマザーコンプレックスと断じるのは誤りであろう。
むしろ彼女が必要としているのは、父親を理解することなのではないだろうか。
枢都 夏蓮(くるつ かれん)
CV:阿澄 佳奈
「……あんたと一緒にいた時間は、全部、無駄だった」
彼女は伽藍堂紗羅とは対照的なケースと言えよう。
すなわち、永遠の第二次反抗期だ。
第一次反抗期が、親と自分は違う人間なのだということを学ぶ期間であるのに対して、
第二次反抗期とは、親と自分以外にも世界は広がっていることを学ぶ期間である。
だが、今も島のしきたりを重んじる枢都家に生まれた彼女にとって、
世界を知る機会はあまりにも少なかったのだろう。
この島に対して悪態を吐くことの多い彼女だが、
むしろ怒りの矛先は無知で未熟な自分自身に向かっているように思われる。
今の彼女が必要としているのは薬でも治療でもない。
経験、それだけだ。
三千界 切那(さんぜんかい せつな) 一見脳天気な楽天家で根拠のない自信に満ちあふれているが、 それらは記憶喪失から来るアイデンティティーの欠如に対する不安と、 真の自分に対する恐怖の裏返しだと推測される。 御原家での生活に馴染むにつれ精神の安定を得つつあるようだが、 未だに妄想癖や自虐癖が見受けられる点を踏まえると、 やはり何らかのショック療法で、失った記憶を取り戻す必要があるのかもしれない。 自らの命を軽く見ている節もあるため、経過を注意深く観察することが要される。